診療内容
歯科口腔外科は、一般的な歯科医院で扱う虫歯や歯周病以外の口腔粘膜、舌、顎の骨などに生じる疾患を扱う診療科です。歯科口腔外科という名称から手術の印象を受けるかもしれませんが、診療内容には抜歯や外傷などの外科的処置のほかにも、口腔粘膜疾患などの内科的治療も含まれます。口の中や顎の症状でお困りの場合には当科へご相談ください。
当院の歯科口腔外科は現在、常勤医3名、非常勤医1名が在籍しています。患者さんを第一に考える医療を心がけ、地域の健康に貢献したいと考えています。総合病院の利点を生かして、密に他の診療科と連携し、より安全な医療、正確な診断・治療を行うことができるように努めています。
処置に時間のかかる場合や急患への対応などで、予約の患者さんの待ち時間が長くなることもあります。何卒ご理解いただきますようお願いいたします。
当科はかかりつけ歯科などの地域医療機関と連携し、診療にあたっています。初診のかたは紹介状とともに、お薬手帳や検査結果などをお持ちください。
たとえば、様々な病気をもっていてお医者さんで治療を受けている患者さんは、一般的な歯科では抜歯が難しい場合があります。当科ではそういった患者さんについて、かかりつけ医からのご依頼により抜歯などの外科処置を行っています。抗血栓薬を内服されており、術後出血に不安がある場合には入院での手術が可能です。
親知らずの抜歯では正確な診断、安全な手術を行うため、可能な限りCT撮影を行っています。
手術に対する不安や恐怖心が強い患者さんは、静脈内鎮静法により、緊張感や不安を軽減した治療を受けていただくことが可能です。
また、外傷や抜歯後出血などの急患に対応していますので、ご相談ください。
当科で対応可能な代表的な疾患を紹介します。
対応疾患
【歯の疾患】埋伏歯
【炎症】智歯周囲炎、膿瘍、顎骨炎、顎骨骨髄炎、骨吸収薬関連顎骨壊死歯性上顎洞炎
【外傷】歯槽骨骨折、歯の外傷(打撲、脱臼、破折、嵌入)、軟組織の外傷
【良性腫瘍】歯原性腫瘍、非歯原性腫瘍(線維腫、乳頭腫など)
【口腔粘膜疾患】白板症、扁平苔癬、口腔カンジダ症、アフタ、口腔乾燥症、ウイルス性疾患(ヘルペス性口内炎、帯状疱疹など)
【嚢胞】顎骨嚢胞(歯根嚢胞、含歯性嚢胞など)、軟組織嚢胞(粘液嚢胞など)
【唾液腺疾患】唾液腺炎、唾石症
【顎関節疾患】顎関節症、顎関節脱臼
主な検査の紹介
【画像検査】単純X線写真、CT検査、MRI検査、エコー検査などをおこないます。
【細菌検査】口腔粘膜を綿棒(スワブ)でぬぐい採取します。カンジダ菌や細菌の培養をします。
【血液検査】一般的な血算や生化学検査、血液凝固のほか、ビタミン、微量元素などを検査します。
【細胞診】口腔粘膜の表面をブラシでこすり細胞を採取します。細胞を観察することで、良性・悪性の推定をすることができます。
【組織検査(生検)】局所麻酔をして、病変の一部あるいは全部を切除し、組織を採取します。病理医により病理組織学的に診断します。
周術期口腔ケアについての紹介
当科では院内の他の診療科と連携し、入院中の患者さんに対して、歯科医師・歯科衛生士が協力して口腔内のスクリーニング、専門的口腔ケアを行っています。入院治療中の患者さんは免疫力が低下し、口腔内細菌を原因とした誤嚥性肺炎などの合併症を発症しやすくなると言われています。
周術期口腔ケアは、全身麻酔での手術の前後、悪性腫瘍の抗がん剤治療や放射線治療の患者さんを対象とします。2012年4月の保険診療報酬改定で「周術期口腔機能管理」として新設され、特に重要視されています。こうした治療の予定がある患者さんはご自身のセルフケアに加えて、歯科での専門的な口腔ケアを受けることをお勧めします。
全身麻酔での手術の前後に口腔内を不潔にしていると、術後の肺炎や創部感染、重症感染症などの合併症につながります。悪性腫瘍の抗がん剤治療や放射線治療中には、口腔内細菌は口腔粘膜炎を悪化させ、重症感染症などの合併症の原因となります。専門的な口腔ケアを行い、こうした合併症を防ぐことは、治療を順調に行うことができ、早期の退院につながります。