診療方針
形成外科の役割とは、外傷・腫瘍切除・先天異常などによる組織の変形や欠損に対して整容面と機能の回復を目的とし、生活の質(Quality of life)の改善に貢献することです。特に、ご自身で眼に見える部分の変形や傷痕は心の負担となり社会生活への支障となることもあります。この点から、整容面の問題を社会的機能障害と捉え、可能な限りそれぞれの患者様の要望にあった治療方法の提供をさせていただきます。
診療内容
〈外傷〉
けがの治療は、早期の社会復帰や感染などの合併症予防のために可能な限り早期に治癒させることが重要です。そのため、きずの状態によって縫合処置やさまざまな軟膏・被覆材を使い分けて治療いたします。
〈皮膚腫瘍・軟部腫瘍〉
皮膚の良性腫瘍(粉瘤やほくろなど)・軟部腫瘍(脂肪腫など)の切除や皮膚悪性腫瘍の治療を行います。また、腫瘍の切除によって生じた皮膚欠損に対して、植皮術(皮膚移植)や皮弁術を行います。腫瘍の治療だけでなく、きずあとのケアまで一貫して行います。
〈熱傷(やけど)〉
やけどは熱の影響を受けた深さ・範囲によって治療内容・治療期間・予後が異なります。やけどのきずあとが目立ちにくくなるよう、早期治療の段階からケアいたします。
〈顔面骨骨折〉
顔面の骨が骨折してずれてしまうと顔の形態が変化するだけでなく、時に機能障害(口があきにくい、あるいは閉じにくい・物が二重に見える・しびれるなど)を起こします。
〈瘢痕(きずあと)〉
できてしまったきずあとが赤く硬く盛り上がった状態(ケロイド・肥厚性瘢痕)になると痛みやかゆみが生じ、場所によっては拘縮の原因ともなります。保存的治療・外科的治療で対応いたします。
〈難治性潰瘍〉
褥瘡(床ずれ)・糖尿病性皮膚潰瘍・放射線治療後の皮膚潰瘍などが含まれます。
〈眼瞼下垂症〉
眼瞼下垂症では、まぶたが上がりにくくなり時に視界が制限されます。まぶたを引き上げる筋肉や腱膜に原因がある場合と、まぶたの皮膚が垂れ下がっている場合があり、患者様の状態を確認し手術の方法を決定します。
〈陥入爪・巻き爪〉
ワイヤー矯正やフェノール法による治療を行っております。
〈腋臭症(わきが)〉
当院では皮膚切除法あるいは皮弁法による保険診療を行っております。
お気軽にご相談ください。
血管腫・毛細血管拡張症のレーザー治療開始のお知らせ
当院形成外科では今まで、炭酸ガスレーザーを用いたほくろやいぼ(脂漏性角化症)の治療やQスウィッチレーザーを用いた太田母斑・外傷性刺青・異所性蒙古斑・しみ(加齢性色素斑)の治療を行ってまいりました。
2018年11月より血管性皮膚病変(いわゆる赤あざ)の治療も可能となります。今回、パルス可変式ロングパルス色素レーザーとして最新の「Vbeam II」(米国シネロン・キャンデラ社製)を導入し、単純性血管腫・苺状血管腫・毛細血管拡張症の治療(保険適応)を開始します。
血管腫の代表的疾患である「単純性血管腫」は自然消退することなく、年齢とともに色調が濃くなったり、顔面や頸部では肥厚するケースもあります。色調の原因は真皮内の毛細血管の拡張と増加であり、放射性物質による治療が行われた時代もありましたが現在の治療の第一選択は色素レーザーとなっています。
新生児の「苺状血管腫」は発生率1.1~数%と比較的頻度が高く、出世直後から3週間の間で紅斑として出現し1歳前後まで隆起増殖しその後自然退縮傾向を示します。従来はWait-and-Seeで自然退縮を待つことが多かったようですが、この「隆起増殖」してしまった苺状血管腫(腫瘤型)は退縮後に萎縮性瘢痕となったり、部位によっては視力障害などの機能障害をきたすことがあるため、なるべく早期の段階でレーザー治療を行い早期の退縮を誘導することも選択肢の一つとなっております。
いわゆる赤ら顔といった顔面の「毛細血管拡張症」は真皮上層の病変であり、血管径が太い・血流の流速が早いなどで従来のレーザーでは効果が弱いケースも、今回導入する色素レーザーでは適正なレーザーパルスを調節できるためより高い治療効果が期待できます。
現在、柏市近郊において色素レーザーによる血管腫治療が行える病院は非常に少ないため、今回の導入により柏市の方にとって血管腫治療の選択の幅が広がり、よりスタンダードで良質な医療が提供できると考えております。
【導入機器】
「Vbeam II」(シネロン・キャンデラ社製)・・・パルス可変式ロングパルス色素レーザー
【対象疾患】
苺状血管腫
血管性皮膚病変(赤あざ)
毛細血管拡張症
【外来受診】完全予約制
紹介状をお持ちの方は、地域連携課(04‐7145‐1130)までご連絡ください。
形成外科実績
手術件数
紹介患者数の推移