手術を受けるとなった時に患者さまにとって大切なのは

どんな手術でもそうですが、手術を受けるとなった時に患者様にとって大切なのは、完治率が高いこと、また合併症の可能性が低いことです。そのために行うべきことに私達はずっと真摯に取り組んできました。その結果、手術成績を公開することが可能となりましたので、公開させていただきます。

多くの施設では手術件数をホームページに載せていますが、肝心の手術成績は載せることができません。

手術成績の公開には問題が潜んでいます。
多くの手術を行う医師であるのに実は手術成績が悪かったり、不十分な指導体制で若手の医師に執刀させたり、などから全体の手術成績が悪く公開できないケースがあることを私たちは知っています。手術成績を公開したくても一般公開ができないということです。

私達は手術成績を明快に開示していくことで、患者様が多くの医療機関から、治療施設を選ぶための判断材料にされることを期待しています。

前立腺癌の手術成績では、とにかく切除断端陽性率と失禁率が極めて重要です。ここは技術差がでるため、嘘偽りができません。

当院での手術成績を示します(2024年5月末の解析)
切除断端陽性率:約8.3% 癌を正常な組織で包んでとれた方:約91.7%
非失禁率(直近1年):尿漏れがない~パッド1枚の使用:約92.5% 完全尿失禁:0%

完治率という意味では、癌を正常な組織で包んだ状態で切除することが重要です。もし切除ラインに癌が顔を出していると(切除断端陽性)、それは体内にまず癌が残っているだろうことを意味し、癌が再発しやすくなります

手術だけで完治するのかが重要で、再発すると高額でかつ合併症も起こりえる多くの薬剤や放射線治療を受けることになってしまいます。

一般的には切除断端陽性率は20%~30%という報告が多いようですが、当院の直近230例程ではリスクの高い癌の方も含め、約8.3%(癌を正常な組織で包んでとれた方が91.7%)となっております(術前にホルモン治療を行っている方はごく少数例のみです)。

切除断端陽性率に関しては手術の技術差が顕著に出るところで、私達が丁寧に手術に向き合ってきた結果だと考えていますが、まだ改善の余地はあります。今後は断端陽性率5%を目指したいと考えています。

また、前立腺癌の手術で、合併症として問題になるのは尿失禁です。
尿失禁に関しましては、患者様自身の特性、たとえばもともと尿が漏れている方、癌の位置や機能する尿道の長さなどによっても起きる可能性は変わってきます。

もともと失禁をきたしている方や尿意切迫感が強いなどの排尿に問題がある方など特殊な場合を除きますが、直近120例程度の解析では、術後1年時点で、尿漏れがない~パッド1枚の使用(ほぼ漏れないが念のためパッドをつけている場合も含む)で済む方が92-3%程度です。それ以上のパッドを必要としてもほぼ1日で2-3枚であり、常に漏れているような方は1人もおりません。ただ、尿失禁に関しても私達はさらなる手術手技の改善が必要だと考えています。

近隣にも多くの病院があり、それぞれが切磋琢磨し、技術を磨いて手術加療に取り組んでいます。ただ、若手の先生の執刀になる場合もあるでしょうし、手術成績の開示がなくて不安を抱えられる場合もあるでしょう。

不安な時は担当の先生に、ご自身の過去の手術成績である断端陽性率と尿失禁の確率を尋ねてみるのをお勧めいたします。遠慮は不要で、もしすぐに答えられない場合には、自分の手術成績を把握していないということです。ご自身の手術を任せるに値するか、それはその人の手術成績によるのではないでしょうか?手術成績を把握していない医師の手術が、すばらしいことがありえるでしょうか?
当院では手術成績を常に振り返って進歩につなげており、特に癌の再発率に大きく関係する断端陽性率の低さ、にはそれなりの自信をもっています。
患者様に置かれましては、上記当院での手術成績を一つ参考にしていただき、よい治療の選択のための材料として役立てていただければ幸いに存じます。
私たちは真摯に手術に向き合っています。
もし当院での治療に興味があり、お話だけでも聞いてみたい方は、ぜひ受診をしてみてください。原則紹介状が必要ですが、必ずしも持参いただく必要はありません。まずはお話をお聞きいたします。近隣患者様のお役に立てるよう、全力を尽くしたいと思っています。

 診療科一覧へ戻る  外科へ戻る  泌尿器科へ戻る

診療科の紹介