脊椎脊髄病センター

せぼね・背骨の病気

脊椎脊髄病外科では首(頚椎)、背中(胸椎)、腰(腰椎)にわたる背骨(脊椎)全般の病気や骨折の治療を行います。
背骨の内部には脳から手足に向けて動作の命令を伝え、また手足から脳へと感覚を伝える神経が格納されています。そのため、背骨の病気(脊椎脊髄疾患)では手足の痛みやしびれなどの症状に加え、「箸が使いにくい」、「細かい作業がしにくくなった」、「歩いているとふらふらする」、「転びやすくなった」など身体機能の障害を生じ、重篤な場合には寝たきり状態や呼吸機能の障害にもつながっていきます。
また一方で、背骨は頭と身体を支える柱としての役割も果たしています。加齢や骨折、あるいは特殊な病気によって背骨が曲がったりずれたり不安定になると、それだけで痛みや麻痺の原因になったり、立つときのバランスがとれなくなるほか、前を見ることが難しくなる、お腹がつかえて逆流性食道炎などの消化管機能障害を起こすなど日常生活の質に大きく影響します。
背骨の病気、脊椎脊髄疾患は治療しても回復しないと思われがちですが、正しい診断に基づき正しい治療方法を選択すれば回復するものもたくさんあります。また一方で適切な時期に適切な治療を受けられなかったことで治療の機会を逃したり治療後の回復が得にくくなることもあります。脊椎疾患の治療方法には様々な方法があり、当然それぞれに一長一短があります。患者さまごとにどの治療が最も適切なのか、病状、患者さまのご希望、生活環境など多方面から検討し、また患者さまご自身やご家族、患者さまを支える周囲の方々とも相談の上で診療を進めてまいります。

診療・診察にあたって

脊椎脊髄疾患の診療にあたっては、レントゲンやMRIなどの画像検査だけでなく、患者さまに触れ、丁寧な診察をすることにより神経学的所見を把握することが非常に重要です。多くの場合、感覚の異常を詳細に確認する必要があり、病気によっては皮膚に異常が生じることもありますので、必要に応じて診察衣に着替えて詳しく診察をさせていただいています。
さらに詳細な検査が必要な場合には、入院の上で各種検査を集中的に行い、患者さま、ご家族の方の病気に対するご理解が進むよう十分な説明をいたします。

脊椎疾患の治療

背骨の病気の多くは手術をしなくても投薬や装具治療などで症状と付き合いながら生活していけるものです。しかしながら症状が長引いて辛い思いをしたり、生活が困難なほどの痛みやしびれを生じる場合、あるいは手足の麻痺が生じている場合や高い確率で病状の悪化が予想される場合には手術的に加療をしなければなりません。
手術はそれぞれの病状に応じて、最小低侵襲手術から頚椎疾患の標準手術である椎弓形成術、ずれた背骨に対する最小侵襲固定術や曲がった背骨に対する広範囲の矯正固定術、頚椎の難病、難治性疾患に対する頚椎再建固定術など部位や手術の大小問わず、高度な脊椎脊髄病医療を提供することが可能です。近年は脊椎インプラント手術が低侵襲化することにより、より安全性と治療効果が高く、再発リスクの少ない手術が可能となっています。

対応疾患

頚椎疾患

頚椎椎間板ヘルニア、頚椎後縦靭帯骨化症、頚椎症性脊髄症、関節リウマチによる頚椎変形、首下がり症

胸椎疾患

胸椎黄色靭帯骨化症、胸椎後縦靱帯骨化症

腰椎疾患

腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎分離症・すべり症

特殊な疾患・難病

骨粗鬆症性椎体骨折(圧迫骨折)、脊柱変形(変性側弯・後側弯)転移性脊椎腫瘍

文責:脊椎脊髄病外科部長 金山修一

医師

センター長 金山修一

学歴

神戸大学 H12卒
神戸大学大学院 H20卒

学位
医学博士
所属学会

日本整形外科学会 日本脊椎脊髄病学会(評議員)
日本側弯症学会
日本脊椎インストゥルメンション学会
日本脊椎脊髄神経手術手技学会
Cervical Spine Research Society
Organization of Japanese Cervical Spine Surgeons(技術交流委員長)

認定等

日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会脊椎脊髄病専門医
日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医・専門医
難病指定医
身体障害福祉法指定医
臨床研修指導医

 

受賞歴
・第23回日本脊椎脊髄病学会奨励賞(大正富山Award)臨床部門 2011年
・第5回国際頚椎学会アジア太平洋部門最優秀賞 2014年
・第20回労働者健康安全機構優秀研究賞 2016年
・第34回国際頚椎学会ヨーロッパ部門最優秀賞

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