呼吸器内科

当科の紹介

呼吸器内科は、肺や気道(空気の通り道)の病気を扱う科です。咳・痰や息切れなど、身近な症状を扱う科でもあります。診療する疾患は幅広く、肺炎をはじめとする感染症、気管支喘息などのアレルギー疾患、喫煙による慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎、肺癌、気胸などがあります。

診療方針

肺は「全身を映す鏡」と言われます。同じ肺の病気でも患者さんの免疫力や、肺以外の臓器のコンディションによって、肺に現れる変化は異なり、治療法も様々です。現代において、多くの患者さんが複数の病気を持っています。肺だけを診るのではなく、患者さんの体全体で何が起きているのかを考えながら、他の専門診療科と連携を取りながら、治療を行っていきます。

当科では、エビデンス(医学研究に基づく科学的根拠)に基づいたガイドラインに沿った標準的治療を行っています。身体のコンディションはもちろん、治療薬の選択や通院の仕方、患者さんの希望(費用と効果のバランスなど)は一人ひとり異なります。患者さんやご家族と相談しながら、最適な治療を目指して、診療を行っていきます。

肺の病気には、後遺症をほとんど残さず回復するものもあれば、治癒が見込めず症状緩和が目標となる疾患もあります。治癒が難しい病気では、患者さんの体の状態と希望する生活様式を考慮して、患者さん本人・ご家族と相談しながら最適な治療を探していきます。社会・介護福祉士、理学・作業・言語聴覚療法士、薬剤師、ケアマネージャーなど専門のメディカルスタッフと連携しつつ、在宅サービスやリハビリテーションの調整、社会福祉資源の利用(介護保険、指定難病助成、身体障碍者申請、高額療養費制度など)についてもサポートします。

主な疾患

呼吸器感染症(肺炎、胸膜炎、誤嚥性肺炎など)
原因病原体に対する抗菌薬治療を行います。一般に1週間程度治療しますが、肺膿瘍(肺が膿んだ状態)になると2か月間前後の治療が必要になります。胸膜に感染が及ぶと胸膜炎や膿胸をきたし、その場合は胸腔ドレナージを行って溜まった水や膿を排出する治療を行います。真菌(カビ)や結核菌が原因となることもあり、これらの検査も合わせて行います。
また、誤嚥性肺炎では、嚥下機能の評価やリハビリテーションを行い、再発予防を図ります。

気管支喘息
吸入薬、内服薬に加えて、重症例・難治例では生物学的製剤を用いて治療を行います。感染症に注意し、タバコや埃など有害な環境を避けるなど、症状が不安定になる生活様式を見直すことが重要です。また、症状が安定していても毎日治療を継続することがとても大切です。1年を通じて喘息発作が無く、毎日の生活を症状なく送れることを目標に、治療を行います。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)
主にタバコや有害物質への暴露が原因で、肺が徐々に破壊されてしまう病気です。吸入薬や内服薬を用いた治療とともに呼吸リハビリテーションを行い、生活の質(Quality of Life)の向上を目指します。病状が進行した方には、在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy:HOT)、非侵襲的陽圧換気療法(Noninvasive Positive Pressure Ventilation:NPPV)などの治療を行います。

間質性肺疾患
様々な原因によって肺の線維化が進む(肺が硬くなる)病気です。徐々に咳や息切れ症状が進行し、ときに急性増悪と呼ばれる悪化をきたします。肺癌を合併することも多く、治療が難しい病気です。画像検査(胸部X線・CT)や呼吸機能検査を定期的に行って、病気の進行性を評価します。間質性肺疾患の種類や重症度、患者さんの状態や治療希望を考慮して、ステロイド・免疫抑制薬、抗線維化薬などで治療を行います。呼吸不全を認めれば、在宅酸素療法(HOT)を導入します。

肺結核
肺結核は決して古い病気ではなく、近年でも毎年1万5千人以上が新たに発症し、1500人以上が結核で亡くなっています。結核菌が肺に感染することで、咳・痰、血痰、発熱、食思不振などをきたします。診断には、喀痰検査を複数回行ったり、気管支鏡検査を行う必要があります。空気感染を起こすため、排菌している(またはその可能性が高い)場合、隔離入院が必要です。一般に、6か月~9か月間抗菌薬治療を行うことで治癒します。

非結核性抗酸菌症(NTM)
NTMは水場や土壌に生息する菌で、菌を吸入することで肺に感染すると考えられています。人から人に感染することはありません。多くの方は無症状または軽い咳・痰を伴う程度ですが、血痰や喀血を認めたり比較的重症度の高い方には、抗菌薬を用いた除菌治療を行います。治療は年単位に及び、再発することも多く、また治療薬の副作用にも注意が必要となります。

気胸・胸水
気胸は、肺に穴が開くことで胸に空気が溜まる病気です。胸腔穿刺や胸腔ドレナージという処置を行って溜まった空気を取り除きます。繰り返したり重症の場合、手術治療を行います。
胸腔という胸の空間に胸水が溜まると、肺が圧迫されて咳や息苦しさが出現します。感染症や悪性腫瘍、心臓・腎臓・肝疾患などが原因となることがあります。画像検査や、胸水の成分を分析して原因を調べます。

サルコイドーシス
炎症細胞の塊である「肉芽腫」が色々な臓器に現れる病気です。全ての臓器に症状を起こす可能性がありますが、縦隔リンパ節の腫れや肺病変を認めることが最も多いです。多くは無症状で、健康診断などで発見されます。肺以外では、眼、心臓、皮膚、腎臓などに症状を起こすことが多いです。肺・縦隔病変は自然軽快することがほとんどで、8割の方は治療不要です。定期的に評価を行って、画像所見や呼吸機能が急速に悪化する場合、ステロイドや免疫抑制薬で治療を行います。

胸部悪性腫瘍(肺癌など)
悪性腫瘍は日本人の死亡原因として最も多く、中でも肺癌による死亡数は最多です。肺癌では一般に、咳・痰、血痰、胸の痛み、息苦しさなどの症状を認めますが、早期だったり肺癌の部位によっては症状が出ないこともあります。当院では、併設する健診センターで異常を認めたり自覚症状のある方に、画像・血液検査を行っています。悪性腫瘍が疑われる場合、気管支鏡検査を含めた精密検査を行っています。

医師

鈴木優毅

学歴

岐阜大学 H22卒
千葉大学大学院 R2卒

学位
医学博士
所属学会

日本内科学会 日本呼吸器学会
日本呼吸器内視鏡学会
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
日本緩和医療学会 日本人間ドック学会
日本感染症学会  日本化学療法学会

認定等

日本内科学会総合内科専門医
日本内科学会指導医・認定医
日本呼吸器学会専門医
難病指定医
緩和ケア研修会修了
日本救急医学会ICLSコース認定

寺崎泰弘【非常勤】

学歴

熊本大学 H2卒

学位
医学博士
所属学会

日本内科学会    日本病理学会
日本呼吸器学会

認定等

日本内科学会専門医
日本呼吸器学会専門医
日本病理学会専門医
難病指定医

中山雅晴【非常勤】

学歴

東京大学 H5卒
東京大学大学院 H14卒

所属学会

日本内科学会      日本感染症学会
日本アレルギー学会   日本呼吸器学会
American Thoracic Society

認定等

日本内科学会認定医
日本呼吸器学会専門医

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