検査科

病院の理念でもある 「良質な医療の提供」が出来るよう、知識・技術向上のため勉強会や学会へ参加しています。また、専門認定資格の取得に関しても積極的に取り組んでいます。

スタッフ: 2023年7月1日現在
臨床検査技師 44名(常勤37名、非常勤7名)
視能訓練士 4名(常勤4名)
眼科検査員(OMA) 1名
事務 4名

認定資格:
・超音波認定技師 / 消化器領域7名、循環器領域2名、体表領域3名、健診領域3名
・JABTS乳房超音波講習会A判定2名
・二級臨床検査士 / 循環生理学1名、病理学2名
・細胞検査士4名
・国際細胞検査士1名、
・認定心電検査技師1名
・緊急臨床検査士2名
・ピンクリボンアドバイザー1名

 

検査科では病気の診断や治療効果の判定を行うために様々な項目を検査しています。
尿や便、血液などを試料として行う検体検査と直接患者様に触れて行う生理検査の2つに分けられます。

検体検査 検体検査情報 生理検査

 

検体検査

尿や便、血液などの試料(検体)について、そこに含まれる成分や細胞の形や数などを調べる検査のことです。
以下の通り、各専門分野に分かれて検体検査を行っています。

生化学検査

肝機能、心機能、腎機能、蛋白、脂質代謝、糖代謝、電解質などを検査しています。

生化学自動分析装置
日本電子 BM6050 (2台)

 

血液学検査

貧血の有無や、感染症や炎症による白血球数の増加やその種類などを検査しています。

多項目自動血球分析装置
シスメックスXN-2000

 

免疫学検査

腫瘍マーカー、甲状腺機能、心機能、感染症検査を行っています。 腫瘍マーカー検査では、CEA・CA19-9・AFP・PSA・SCC 、甲状腺機能検査では、TSH・FreeT3・FreeT4、心機能検査では、BNP・トロポニンI、感染症検査では、B型肝炎・C型肝炎・梅毒などの検査をしています。 その他にも、鼻腔や咽頭を綿棒で拭った検体で、インフルエンザウイルス・アデノウイルス・RSウイルス・A群溶連菌・マイコプラズマなどの迅速検査も行っています。

全自動化学発光免疫測定装置
アボットAlinity i

 

一般検査

尿や便、体腔液などを用いて検査を行っています。
尿検査 : 尿中の蛋白や糖、血液が含まれていないか調べます。また、細菌の有無や細胞成分の観察も行っています。
便検査 : 糞便中に血液が含まれていないかを調べる便潜血定量検査や寄生虫、ノロウイルスなどの検査を行っています。

便潜血測定装置
栄研化学OCセンサーPLEDIA

 

検体検査情報

血液検査

生化学検査

検査項目 説明
TP

(蛋白)

血液中のタンパク質の総量

全身の栄養状態や肝機能、腎機能の病状把握をみています。

ALB

(アルブミン)

肝臓で作られ、肝臓の病気や栄養障害で低くなります。
CRP

(C反応性たんぱく質)

体内に炎症が起きると高くなり、病気の進行度や重症度、経過、予後をみる大切な指標です。
AST

(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)

心臓、肝臓、筋肉に多く存在する酵素

肝障害や心筋梗塞で高くなります。

ALT

(アラニンアミノ基転移酵素)

肝臓に多く含まれる酵素

肝障害や胆道系の病気で高くなります。

LDH

(乳酸脱水素酵素)

心臓、肝臓、筋肉、血液の中に存在する酵素

それらの臓器の異常に伴い高くなります。

ALP

(アルカリ性ホスファターゼ)

肝臓、胆道系(胆汁の通り道)の病気や、骨の病気の指標

成長期にある小児は成人よりも値が高くなります。

γ‐GTP

(γ-グルタミントランスペプチダーゼ)

肝臓、胆道系の病気で高くなります。

アルコール摂取量が多い人でも高くなります。

CHE

(コリンエステラーゼ)

肝臓の病気で低くなり、有機リン製剤の投与や中毒でも低くなります。
脂肪肝では高くなります。
T-Bil

(総ビリルビン)

肝臓、胆道系の障害で高くなります。
D-Bil

(直接ビリルビン)

黄疸の指標となります。
AMY

(アミラーゼ)

膵臓や唾液腺より分泌される消化酵素

膵臓や唾液腺に異常があると高くなります。

P-AMY

(P型アミラーゼ)

AMYにはP型とS型の2種類ありますが、膵臓に特異的なのはP型です。

膵疾患とそれ以外の疾患を区別するために測定します。

CK

(クレアチンキナーゼ)

骨格筋や心臓、脳などに多く存在する酵素

筋肉の細胞が壊れたり、激しい運動後に高くなります。

CK-MB CKにはBB型、MB型、MM型の3種類ありますが、

MB型は急性心筋梗塞の際、すみやかに上昇するため簡便な迅速検査として測定されます。

BNP

(脳性ナトリウム利尿ペプチド)

心臓から分泌されるホルモンの一種

心臓の異常を判断するための指標であり、心臓に負担ががかかるような病気に罹ると高くなります。

BUN

(尿素窒素)

腎臓のはたらきを知るのに用いられ、腎機能が低下すると値は高くなります。
CRE

(クレアチニン)

筋肉が働くためのエネルギー源であるクレアチンが代謝されて出来た物質であり、腎臓のはたらきを知る目安です。
UA

(尿酸)

プリン体(アジ、カツオ、エビ、肉や魚、ビールなどに多く含む)の最終産物で、痛風や腎障害で高くなります。
eGFR

(推算糸球体濾過量)

腎臓にどれくらい老廃物を尿へ排泄する能力があるかを示し、腎臓の働きが悪いと低下します。
Na(ナトリウム)

K(カリウム)

Cl(クロール)

体内の水分バランスの状態をみます。

腎臓の病気やホルモンの異常、脱水などで高くなったり、低くなったりします。

Ca

(カルシウム)

体内で最も多く含まれるミネラルの一つで、骨や歯を作っています。

筋肉の伸び縮みの調節や細胞内の情報のやりとりに必要です。

T-cho

(総コレステロール)

体の脂肪成分の1つです。

増えすぎたコレステロールは血管壁に付着し、血管を詰まらせるため、動脈硬化や心臓病などの循環器障害の診断や経過観察に用います。

TG

(中性脂肪)

体内の脂肪成分の一つ食後で高くなります。

600以上で急性膵炎の危険性が高まると言われています。

HDL- cho

(HDLコレステロール)

善玉コレステロールとも呼ばれ、動脈硬化が進むのを防ぎます。
LDL- cho

(LDLコレステロール)

悪玉コレステロールとも呼ばれ、動脈硬化の危険因子として総コレステロールよりも重要です。
Glu

(グルコース)

糖尿病の有無、治療、管理の指標となります。

検査当日の血糖状態

※食事の前後で数値が異なるため、空腹時に検査します。

HbA1c 過去1~2ヶ月の血糖状態を反映します。

糖尿病の長期コントロールに有用です。

トロポニンI 心臓にダメージを受けると血液中に出現するため心筋梗塞、心筋炎、狭心症などで高くなります。

 

血液学検査

検査項目 説明
WBC
(白血球数)
白血球という血液細胞数、細菌やウイルスなどの異物を排除する免疫機能を担う細胞。炎症の目安になります。
RBC
(赤血球数)
赤血球という血液細胞数、貧血・多血症の診断に用いられます。
Hgb
(血色素量:ヘモグロビン)
赤血球に含まれるたんぱく質、体に酸素を運び供給します。
Hct
(赤血球容積)
血液中の赤血球の割合を示します。
MCV
(平均赤血球容積)
MCH
(平均赤血球血色素量)
MCHC
(平均赤血球血色素濃度)
RBC、Hgb、Hctの3項目から算出される項目、貧血の診断・分類に用いられます。
PLT
(血小板数)
血小板という血液細胞、主に止血機能を担い、血管が損傷した際に傷口を塞ぎ出血を止める働きがあります。

 

凝固検査

検査項目

説明

PT時間・活性 血小板と共に止血作用を担う凝固因子、肝機能障害、抗凝固剤服用時などで延長します。
PT-INR 主にワルファリン(抗凝固剤)のコントロールの指標として用いられます。
APTT 血小板と共に止血作用を担う凝固因子、肝機能障害、血友病などで延長します。
フィブリノーゲン 凝固因子によりフィブリンに転換し、血小板と共に止血作用の中心的役割をしています。
FDP、Dダイマー 血栓を溶解する際に生じる産物、主に血栓症などで上昇します。

 

免疫学検査

腫瘍マーカー
がんのスクリーニングとして行われます。
診断するうえで補助的な検査、あるいは治療していくうえで経過観察する検査として行われます。
異常値だからといって必ずがんが存在すると言えませんが、値が高い場合は別の検査に進む目安になります。

AFP
(αフェトプロテイン)
肝臓がんのスクリーニングとして用いられます。
肝硬変、肝炎の場合でも高くなります。
CEA
(癌胎児性抗原)
大腸などの消化器系のがんのスクリーニングとして用いられます
高齢や喫煙でもやや高くなります。
CA19-9 膵臓がんや胆道がんのスクリーニングとして用いられます。
糖尿病や胆石症、慢性肝炎などでも高くなります。
PSA
(前立腺特異抗原)
前立腺がんのスクリーニングとして用いられます。
前立腺肥大症でも高くなります。
SCC
(扁平上皮癌関連抗原)
扁平上皮がんのスクリーニングとして用いられます。
アトピー性皮膚炎や気管支炎などでも高くなります。
トロポニンI 心臓にダメージを受けると血液中に出現するため
心筋梗塞、心筋炎、狭心症などで高くなります。
TSH
(甲状腺刺激ホルモン)
甲状腺の病気を診断するうえで、3つの検査を組み合わせて総合的に判断します。
TSHの値が低くFreeT3とFreeT4の値が高い場合は、甲状腺機能亢進症でバセドウ病などが考えられます。
TSHの値が高くFreeT3とFreeT4の値が低い場合は、甲状腺機能低下症で橋本病などが考えられます。
FreeT3
(遊離トリヨードサイロニン)
FreeT4
(遊離サイロニン)

 

尿検査

一般検査

検査項目

比重 腎臓での尿の濃縮力を調べる検査、摂取した水分量などで変化します。
反応(pH) 酸性かアルカリ性かを調べる検査、食事や運動などさまざまな
要因で変化します。
蛋白定性 主に腎臓の機能低下した際に陽性となります。
健常者でも生理的要因により陽性を呈することがあります。
糖定性 血糖値が上がる疾患(糖尿病など)の検査に用います。
食後、ストレス、妊娠などでも陽性を呈することがあります。
ケトン体定性 糖尿病、下痢、嘔吐、妊娠中のつわりなどで陽性を呈します。
潜血 尿に血液が出ていないを見ています。
腎臓の炎症や結石による尿路系の出血などさまざまな疾患により陽性を呈します。
ウロビリノーゲン 肝機能障害などで尿中に出現します。健常者でも少量尿中に
排泄されています。
尿沈渣 尿中の細胞などの有形成分を顕微鏡で観察し、その有無や
数を見ています。腎・尿路系疾患などの検査です。

~ご注意~

  • 説明内容は一般的なものでかつごく平易に解説したものです。
  • 病気の程度や時期などによって必ずしもご自身の状態に当てはまらないこともあります。
  • あくまでご参考としてください。

 

生理検査

検査科では、病気の診断や治療効果の判定を行うために様々な項目を実施しています。
尿や便、血液などを試料として行う検体検査と直接患者様に触れて行う生理検査の2つに分けられます。

心電図

手足・胸に電極をつけて、心臓から発生する微少な電気を波形として記録する検査で、不整脈や虚血性心疾患など、心臓の様子を調べます。 運動をして心臓に負担をかけて、変化があるかどうかを調べる負荷心電図や普段と全く変わらない生活をしながら24時間心電図を記録し、不整脈の程度、虚血性心疾患の発作を捕えるホルター心電図などがあります

 ABI(動脈硬化)検査

足首と上腕の血圧比(ABI)、足指と上腕の血圧比(TBI)や心臓の拍動が手足に届くまでの速度(PWV)を調べることで、動脈硬化の程度を数値として表したものです。この検査を行うことにより、動脈の硬さ、動脈の詰まり、血管年齢を知ることができます。

肺機能検査

肺機能検査はマウスピース(直径2cm位の筒)をくわえて、息を吸ったり吐いたりすることで肺の機能を調べる検査です。苦痛はありませんが、正確に測るために、患者様ご自身が精一杯努力する必要があります。 例えば喘息などには一般的な検査で、手術の術前検査にも必ず施行されます。

聴力検査

聴力検査とは耳に受話器(ヘッドフォン)をあて,どの程度小さい音が聞こえるかを調べる検査です。耳に受話器をあてて音を聞く方法(気道聴力)と耳の後ろの骨に骨導端子をあてて音を聞く方法(骨導聴力)があります。

内耳機能検査 (検査時間の目安15分)
weber, ABLB 検査を行い感音難聴の程度を調べます。

ティンパノメトリー検査 (検査時間の目安5分)
鼓膜の動きをみる検査です。

耳小骨筋反射検査 (検査時間の目安5分)
大きな音を聞いた時に起こる耳小骨の筋の動きをみる検査です。

神経伝導検査

神経の走行に沿って2カ所で刺激を加え、誘発された複合筋活動電位の振幅と潜時を計測し、末梢神経病変の有無と性質を検査します。 主に手のしびれや(手根管症候群、肘部管症候群)足のしびれなどを調べます。

聴性脳幹反応(ABR)

耳から一定の音を聞かせ、脳幹の聴覚伝導路から出る脳波をコンピューター解析して聴力を調べる検査です。
当院では主に新生児・乳幼児難聴の早期診断を目的として、検査をして実施しています。

超音波検査

体の表面から人の耳には聞こえない超音波を当て、体内の組織にぶつかってはね返ってきたエコー(こだま)を画像に映し出す検査で、エコー検査とも呼びます。

放射線の問題もなく、繰り返し行うことができる検査です。

検査方法は検査する対象臓器がある皮膚面にゼリーを塗り、プローブ(超音波を発する探触子)をあてるだけなので痛くありません。すべて予約検査になります。

検査項目

検査内容

腹部超音波 肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、膀胱、前立腺、子宮、卵巣などが対象となります。なかでも胆石や早期肝臓がんの発見に有用です。
心臓超音波 心臓の大きさ、動き、弁の状態などを観察します。心筋梗塞や心臓肥大、弁膜症、先天性心疾患などがわかります。
頚動脈超音波 心頚動脈は動脈硬化の好発部位であることから、全身の動脈硬化や脳血管疾患の評価に用いられます。
甲状腺超音波 甲状腺がん、甲状腺機能亢進症、甲状腺腫、甲状腺炎などについて検査します。
乳腺超音波 しこり(腫瘤)の存在を調べます。良性の乳腺症や しこりのようなものから、乳がんまで、早期発見に有用です。
下肢静脈超音波 下肢の静脈にできた血栓(深部静脈血栓)の有無を調べます。
その他超音波 副甲状腺、表在腫瘤なども行っています。

 

≪超音波認定技師≫
消化器、循環器、表在、泌尿器、健診、血管など各領域の認定技師が多数在籍しています。

▲超音波検査装置

睡眠時無呼吸症候群検査

SAS検査
簡易検査になります。
機械はご自身で簡単に装着できますので、ご自宅での検査が可能です。指と鼻にセンサーを取り付けますが、痛みはありませんのでご安心ください。
検査結果により、より詳しい検査が必要な場合は、PSG検査を行なう場合もあります。
PSG検査
睡眠時無呼吸症候群(SAS)のタイプや重症度を調べる専門的な検査です。1泊入院していただき睡眠中の呼吸状態や脳波を詳しく記録します。結果の解析を行い、治療方法を検討します。簡易検査よりも取り付けるセンサー類は多くなりますが、痛みを伴うものではありません。

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